信じられない光景

信じられない光景

夜の0時まで営業している大手スーパーのベンチに、すでに23時を回っているにも関わらず、中学生らしき子供たちが座り大騒ぎをしていました。

こんな夜遅くまで出歩いていても親は何も言わないのかと思ったくらい、非常識な光景に目を疑ってしまいまいた。

しかし、すでにスーパーも閉店間際だったので、もう少ししたら帰るだろうと思い、はしゃぐ彼らを無視しスーパーへ入りました。

買い物を済ませ、閉店ギリギリでスーパーを出ると、そこにはまだ彼らが座っていました。

あまりにもうるさかったので、彼らの方へ視線をやるとタバコでも吸っていたのか、ライターを持って遊んでいました。

その時点で注意できれば良かったのですが、調子にのった1人が別の子の洋服に火をつけたのです。

すぐに消えるだろうと思ったのでしょう。しかしあまりの熱さにびっくりした子が走りだしたため、あっと言う間に火はどんどん大きくなりました。

突然の出来事に固まってしまった私が見たのは、とても信じられない光景でした。

火をつけた子も、その周りにいた子も笑っていて、誰も助けようとしません。

それどころか火の熱さで逃げ回るその子を見て大笑いしているのです。

その光景に凍りつき、「人間じゃない」と思ったことは今でも鮮明に残っています。

持っていた買い物袋を置き救助に向かおうとしたその時、なんとか火のついた洋服を脱ぎすてる事ができ、間一髪でその子は難を逃れました。

そして近寄ってきた私に警戒したのか、火をつけられた子をその場に残しそそくさと立ち去ったのです。

あっけにとられていると、置き去りにしたその子の名前を呼び一緒に来るように言いました。

「ここでいったらお前はダメだ」と思いながら止めようとした私をかわし、その子はついていってしまいました。

その後、彼らがどうなったかはわかりません。

火をつけた子と良好な関係が築けているとはあまり思えませんが、二度とあんな事はしてほしくないものです。

あの時はたまたま運が良かっただけで、もしかしたら命に関わる事だったと分かってほしいのです。

しかしあの信じられない光景が、未だに私にはくっきり残ってり、ふとした拍子に思いだしては背筋が寒くなるのです。

異空間

私の家の近くには、まるでジブリのアニメに出てきそうな料亭があります。

近代的な建物の中でひっそりとした佇まいのその料亭は、目の前を通るたびどこか懐かしいような、寂しくなるようなそんな気持ちになります。

料亭の中ってどうなっているんだろう。そんな好奇心から料亭へ行ってみる事にしました。

ただ、メニューなどが一切載っていないので料理の金額が分らなかった私は、とりあえず給料日が来るのを待ちました。

その後数日がたち、待ちに待った給料日、「2万円もあれば足りるかな」と、とうとうあの異空間の料亭へ足を踏み入れたのです。

ドキドキしながら料亭の大きな門をくぐり中へ入ると、そこはまるで別世界。

こんな所にこんな空間があるなんて!と感動してしまう程、思った以上に中は大きく広いのです。

緑に囲まれた日本庭園のような庭に池があり鯉が泳いでいました。

そしてその池には橋がかかり、本館や別館へ移動する際、その橋を通り庭を散歩する事ができます。

更に、一般のお店にはないような大きな木がおい茂り、お店に入る前はあんなに暑く汗ばんでいたのですが、

料亭の中に入ったとたんすっと汗が引いていくほど涼しいのです。

あまりの外と中のギャップに驚いた私は、本当に異空間へ来てしまった感覚に陥ったのです。

ぼーっと立ち尽くす私に、中居さんらしき人が「ご予約ですか」声をかけてきました。

料亭という所へ普段いかないので、予約するという頭がなかった私は、その一言で現実に戻り、「すみません、予約はしていなんです。」と答えると、

どうやら予約制のお店だったらしく、お料理がご用意できないかもしれないと申し訳なさそうに確認のため、中へ戻って行きました。

なにも分らず入ってしまったのは私なので、料理が食べられなくてもまたもう一度来ようと思っていましたが、そんな私に特別に料理を用意してくれたのです。

料理もまた美味しく、少々お値段ははりましたがとても貴重な体験をしたと思います。

料理と食べ終え料亭を後にする私をあの中居さんが見送ってくれました。

帰り道、もう一度料亭を振り返ると、あの中居さんはもういませんでした。

狐につつまれた気分が残りながらも、あの異空間をまた味わってみたいのです。